中米二か国におけるコミュニティ防災(地域防災)推進ワークショップ
2011年1月1日~1月12日にかけて、片田教授がJICA短期専門家として、中米2カ国(ニカラグア、ホンジュラス)でコミュニティ防災(地域防災)を推進するための住民参加型ワークショップ、津波防災教材開発ワークショップ、現地専門家とのディスカッション、防災機関及び観測機関への表敬訪問等を行いました。
1)ニカラグア
プロジェクト対象地域であるレオン市の3つの沿岸コミュニティを訪問し、住民との事前協議内容を踏まえた上で、主に津波のメカニズムと住民避難の観点から津波防災ワークショップを実施しました。これらの対象地域は1992年のニカラグア津波で被災しており、津波防災に対する住民の関心は非常に高いのですが、その被災経験が津波イメージの固定化を招いており、またその辛い経験から地域伝承もほとんど行われていませんでした。そのため津波現象の適切な理解を促すとともに、世代を超えて地域の津波被害者ゼロを達成するための津波伝承の重要性や日本の津波防災経験を住民と共有しました。なお、本ワークショップを契機として、対象コミュニティの一つであるサリーナスグランデス地区では世代を超えた津波伝承を行うためのイベントとしてKATADA祭りを開催しました。同イベントは2020年現在、10年連続で開催されています。
2)ホンジュラス
農村地域と都市部スラム地区という異なる社会背景に持つプロジェクト対象地域をそれぞれ訪問し、そうした対比も踏まえて今後のあるべき防災対策を検討しました。災害種は土砂災害であり、ホンジュラス国は1998年のハリケーン・ミッチにより全土で甚大な被害を受けており、まだその被害の爪痕が残っている地域もあります。JICAの無償資金協力等によって地滑り対策などのハード対策も実施されていますが、それだけで全ての土砂災害リスク地域をカバーすることはできないことから、行政と地域が協力した土砂災害警戒体制の構築が必要となります。