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2010年チリ地震津波襲来時における落石漁協の漁民とその家族の対応

1)2010年チリ地震津波の概要

2010年2月27日15時34分頃、チリ中部沿岸を震源とするマグニチュード8.8の地震(2010年チリ地震)が発生しました。この地震に伴い津波が発生し、我が国では、2月28日9:33に太平洋沿岸全域に津波警報が発表され、東北地方では大津波警報が発表されました。そして、同日12時43分頃、南鳥島に第1波到達後、沿岸各地に津波が繰返し襲来し、各地の検潮所では、須崎港・久慈港で1.2m、根室花咲港で1.0mの最大波を観測しました。

この津波襲来時における落石地区の概要は以下に示す通りです。この際、落石漁協は、津波警報の発表に伴い漁船に対して沖出しを指示し、また潮位の干満を踏まえて、待機中の漁船へ帰港を指示するなど、漁民への適切な情報伝達を行っていました。
発表日時
発表内容
2月28日
9:33
津波警報発表(予想高さ:2m/予想到達時刻:13:00)
2月28日
9:40
根室市が避難指示発令(3,363世帯8,840人,避難者数2,200人)
2月28日
11:00
落石漁協が「操業中の漁船に待機」と「港内係留中の漁船に50m以深への避難」を指示
2月28日
13:47
根室花咲港に第1波が到達
2月28日
15:48
根室花咲港に最大波(0.9m)が到達
2月28日
18:23
根室花咲港に最大波(1.0m)が到達
2月28日
19:15
落石漁協が待機船へ帰港を指示
3月1日
1:07
津波警報から津波注意報へ移行
3月1日
1:07
根室市が避難指示を解除
3月1日
8:40
津波注意報解除

2)津波襲来危険時における漁民とその家族の対応

この津波襲来時における落石漁協に属する漁民の対応を把握するために、アンケート調査を実施しました。調査は漁民166人に配布し、153人から回答を得ました。その結果の概要は以下の通りです。

〇津波警報発表時に海上で操業中だった漁民(33人)は、その後、全員が水深30m以上の安全な海域に沖出しした
〇津波警報発表時に港内に係留中だった漁民(12人)は、その穂、全員が水深40m以上の安全な海域に沖出しした
〇沖出しした漁民(45人)のうち約91%が、津波到達予想時刻(13:00)までに安全な海域まで移動していた
〇沖出しした漁民(45人)のうち約52%が、落石漁協からの帰港が指示される(19:15)前に帰港してしまった
〇津波警報発表時に漁船が上架中だった漁民(108人)のうち40人が、津波の襲来を危惧し、高台などへ避難した
〇避難をした漁民(40人)のうち約87%が、津波到達予想時刻(13:00)までに避難を完了していた
〇避難をした漁民(40人)のうち約70%が、根室市が避難指示を解除する(1:07)前に帰宅してしまった


また、沖出しした漁民の家族の避難状況について、特に北海道で想定されている500年間隔地震津波が襲来した場合の浸水想定区域内に居住している住民を対象に把握したところ、以下のような結果となりました。

〇津波浸水想定区域内に居住する漁民の家族(176世帯)のうち約半数が、津波の襲来を危惧し、高台などへ避難した
〇避難をした漁民の家族のうち約91%が、津波到達予想時刻(13:00)までに避難を完了していた
〇避難をした漁民(40人)のうち約64%が、根室市が避難指示を解除する(1:07)前に帰宅してしまった

以上の結果より、漁船の沖出しルールを検討していた落石地区においては、漁民が適切な沖出し行動をとっただけでなく、その家族も他地域と比較して高い避難率となっていたことが確認されました。
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