1)概要
2)水害時の避難のあり方
意識調査の結果を見ると、多くの住民は、「避難=学校(指定避難場所)に行くこと」と思い込んでいることが把握されました。しかし、水害時の避難は、必ずしも避難所に行くことが命を守る最善の行動であるとは限りません。
雨が降り始めてすぐの避難であれば、地域内で最も堅牢な建物(=指定避難場所)に行くことが最も安全な行動となるでしょう。しかし、避難の開始が遅れ、内水などで道路が冠水している状況となった場合はどうでしょうか。指定避難場所までの移動中の危険を考えると、指定避難場所よりは安全性は低くても、近所の高い建物に駆け込んだり、状況によっては自宅にとどまっていた方が安全な場合も考えられます。
水害時の避難は、「いつ」と「どこ」をセットで考える必要があります。この取組を通じて、地域住民の方に、まずは『どんな状況であっても、指定避難場所に行く』という考えを改め、『その状況下において相対的に最も安全な場所に移動する』という水害時の避難のあり方を理解してもらいました。
そこで境野地区では、この ”水害時の避難のあり方” をふまえて、以下の2段階で避難を考えることとしました。
雨が降り始めてすぐの避難であれば、地域内で最も堅牢な建物(=指定避難場所)に行くことが最も安全な行動となるでしょう。しかし、避難の開始が遅れ、内水などで道路が冠水している状況となった場合はどうでしょうか。指定避難場所までの移動中の危険を考えると、指定避難場所よりは安全性は低くても、近所の高い建物に駆け込んだり、状況によっては自宅にとどまっていた方が安全な場合も考えられます。
水害時の避難は、「いつ」と「どこ」をセットで考える必要があります。この取組を通じて、地域住民の方に、まずは『どんな状況であっても、指定避難場所に行く』という考えを改め、『その状況下において相対的に最も安全な場所に移動する』という水害時の避難のあり方を理解してもらいました。
そこで境野地区では、この ”水害時の避難のあり方” をふまえて、以下の2段階で避難を考えることとしました。
第1段階
3)境野地区における「緊急一時避難のための避難施設の選定とそのレベル分け」
4)住民主導型避難体制の確立
「水害発生危険時においては、行政から避難情報が発表され、それに基づいて避難を開始する」と多くの住民は考えていることでしょう。しかし、行政からの避難情報が十分な時間的余裕をもって発表されるとは限りませんし、避難情報が発表されたとしても、それが地区内の全住民にすぐに伝わるとは限りません。その一方で、地上デジタル放送やインターネットの普及により、地域の詳細な雨量や河川の水位など、避難の開始を判断するための情報を、一般住民でも比較的簡単に入手することができるようになってきています。
そこで、この取組では、地域住民が主体となった、地域独自の緊急避難体制の構築を試みました。その構築にあたり、特に重要となるのが、「避難開始タイミング」と「避難場所」です。
そこで、この取組では、地域住民が主体となった、地域独自の緊急避難体制の構築を試みました。その構築にあたり、特に重要となるのが、「避難開始タイミング」と「避難場所」です。
「避難開始タイミング」について
避難開始タイミングについては、できるだけ明確な基準を設定しておくことが求められます。
例えば、「災害発生危険時において、集まってきた情報に基づいて、避難すべきかどうかを検討する」というように、基準をあいまいにしておくと、いざというときには避難開始の判断が遅れてしまう可能性があります。この理由は、いざというときであっても「まだ大丈夫だろう」と、事態の緊迫度を正しく認知することができない人間の心理特性が影響してしまうためです。
そのため、境野地区においては、『避難の目安となる明確な数値基準を用い、基準に達したら避難する』こととしました。具体的には、以下のような基準を設定しました。
・最寄りの河川水位観測所における水位が避難判断水位に達したら、一般の方は避難の準備を開始し、援護が必要な方は避難を開始する。
・氾濫注意水位に達したら、一般の方は避難を開始する。
例えば、「災害発生危険時において、集まってきた情報に基づいて、避難すべきかどうかを検討する」というように、基準をあいまいにしておくと、いざというときには避難開始の判断が遅れてしまう可能性があります。この理由は、いざというときであっても「まだ大丈夫だろう」と、事態の緊迫度を正しく認知することができない人間の心理特性が影響してしまうためです。
そのため、境野地区においては、『避難の目安となる明確な数値基準を用い、基準に達したら避難する』こととしました。具体的には、以下のような基準を設定しました。
・最寄りの河川水位観測所における水位が避難判断水位に達したら、一般の方は避難の準備を開始し、援護が必要な方は避難を開始する。
・氾濫注意水位に達したら、一般の方は避難を開始する。
「避難場所」について
避難場所については、前述の「早期避難所避難」と「緊急一時避難」の考え方を採用しました。“豪雨の中、移動するリスクを勘案し、遠くにある学校などだけではなく、状況に応じて、自宅からなるべく近くで比較的安全な場所も避難場所として平時から検討しておく”ことを地域住民には促しました。もちろん、最後は覚悟を決めて、「自宅に留まる」という選択肢も考えてもらっています。
5)境野地区における「住民主導型避難体制」の概要
懇談会を通じて、境野地区で構築した「住民主導型避難体制」の概要は以下の通りです。
①大雨が降り始めたら、各町会で決められた水位確認の担当者が、地デジやインターネットを活用して水位情報を確認する。
②水位が避難判断基準水位に達したことを確認したら、水位確認担当者は、地域のリーダー(町会長)に報告する。
③報告を受けたリーダーは、町会連絡網で地域住民に避難開始を伝えると同時に、区長へ避難判断基準水位へ到達していることを伝える。
④連絡を受けた区長は、副区長と手分けをして各町会長へ連絡する。連絡を受けた町会長は、連絡網を通じて地域住民に避難の開始を呼びかける。
⑤避難の呼びかけを受けた地域住民は、隣近所で声をかけ合って避難を開始する。