1)概要
旧北川辺町は、利根川と渡良瀬川の合流地点に位置しており、昭和22年のカスリーン台風では、渡良瀬川の決壊により旧町一帯が長期間に渡り浸水する深刻な洪水被害を受けた地域です。
この取り組みでは、住民を対象とした洪水避難に関する意識調査をもとに避難行動の再現シミュレーションを実施し、住民意識の問題点について把握しました。また、住民の対応行動などが改善されることにより、どのように人的被害が低減するのかシミュレータによる分析を行っています。そして、これらの結果を用いながら、現状意識の問題点と洪水時における適切な対応行動の重要性について地域住民に対して説明しました。
この取り組みでは、住民を対象とした洪水避難に関する意識調査をもとに避難行動の再現シミュレーションを実施し、住民意識の問題点について把握しました。また、住民の対応行動などが改善されることにより、どのように人的被害が低減するのかシミュレータによる分析を行っています。そして、これらの結果を用いながら、現状意識の問題点と洪水時における適切な対応行動の重要性について地域住民に対して説明しました。
2)シミュレータによるシナリオ分析
取り組みの中で用いたシミュレーションシナリオを示します。本取り組みでは、住民調査から把握された現状の再現シナリオをはじめとして、住民の対応行動などが改善されていく次のようなシミュレーションを用いました。
シナリオ0
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現状の意識のままの場合、多くの人が避難していない状態で被害にあってしまうことがわかります。
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避難率の改善によって大幅に要酔う救助者が減少しました。しかし、依然として1,000人を超える人が被害に遭っています。
要救助者の構成を見ると、多くの人が避難を実施したにもかかわらず、避難場所にたどり着く途中で被害に遭ってしまっていることがわかります。
要救助者の構成を見ると、多くの人が避難を実施したにもかかわらず、避難場所にたどり着く途中で被害に遭ってしまっていることがわかります。
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要救助者は300人程度減少しましたが、まだ避難中に被害に遭っている人が要救助者の半数を占めています。避難施設の収容状況を見ると、学校に多くの避難者が集まることによって容量超過となり、避難施設に入ることができず避難が遅れている人が存在することがわかりました。
シナリオ3
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シナリオ3のシミュレーションでは、455人にまで要救助者が減少しました。
要救助者の多くは、自力で避難することができない災害時要援護者で占められています。
要救助者の多くは、自力で避難することができない災害時要援護者で占められています。
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要援護者の被害を減らすことができました。この段階の要救助者の構成を見ると、情報取得前に被害に遭っている住民が多くいることがわかります。つまり、避難情報を取得できていない状態で、氾濫に巻き込まれている住民が存在します。
シナリオ5
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要救助者が100人近く減少しました。しかし、まだ避難中に被害に遭っている住民が存在しています。
シナリオ6
シナリオ6では、避難勧告の発令タイミングを1時間早めた場合のシミュレーションです。
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このシナリオでは、堤防が決壊する時点において全ての住民が避難を終えており、要救助者の数はゼロとなりました。しかし、避難勧告の発令を早めることは、洪水の危険性の少ない段階で避難情報を伝達することとなり、情報の空振りの危険性を高めます。行政がこのような対応を行うためには、地域住民と協議を行い、事前に十分な住民理解を得ておく必要があります。
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自動車を利用した場合、渋滞の発生により避難中の要救助者が増加し、その数は現状の意識をそのまま再現したシナリオ(No.0)と同程度となってしまいました。
洪水犠牲者をゼロにするための条件
以上のシミュレーション結果から、洪水による犠牲者をゼロとするためには、次のような条件があることがわかります。
・避難率の向上
・適切な避難先の選択
・早い段階における避難行動の開始
・災害時要援護者への避難支援
・組織的な情報伝達による情報空白世帯の低減
・車による避難の危険性の認識
・早い段階での避難勧告発令と住民理解
・避難率の向上
・適切な避難先の選択
・早い段階における避難行動の開始
・災害時要援護者への避難支援
・組織的な情報伝達による情報空白世帯の低減
・車による避難の危険性の認識
・早い段階での避難勧告発令と住民理解
3)住民向け地域防災啓発ツールの作成
2)に示したシミュレーション結果を、広く地域住民に普及啓発するため、さまざまなツールを開発し、市役所や各行政区などに提供しました。